マッチ先生が贈る今月の一句ー10月 マッチ先生が贈る今月の一句ー10月

「夕日浴びていろいろはゆるもみぢかな」

紅葉狩りの季節になりました。以前テレビ番組で「葉っぱはなぜ紅葉して落ちるの?」という質問がありました。回答者は、わかりやすく「紅葉して葉を落とすのは木本体を守るため」と答えていました。生物学的には、もっと説明が必要なのでしょうが、私はその簡潔な答えに妙に納得しました。寒い冬になっても葉をつけていると、雪や氷のために木自体が弱ってしまうとのこと。葉っぱが木を去ることによって木を助けているのだなあと思いました。

そのとき、ふと思い出したのがレオ・バスカーリア著『葉っぱのフレディ』という童話です。この作品は、春生まれたフレディという名の葉っぱがたくさんの仲間たちと夏を過ごし、秋になって皆それぞれに紅葉し、やがてひと葉ひと葉、木を離れて旅立っていくという物語です。

フレディもついに木を離れていきました。フレディは空中を舞いながらもとの木のたくましい姿を目にします。そのとき、友人から聞いた”いのち”という言葉を思い出し、”いのち”は永遠に生きているのだと悟るのです。

少し長くなりますが、『徒然草』にも落葉に触れた段があります。

「木の葉の落つるも、まづ落ちて芽ぐむにはあらず、下より兆(きざ)しつはるに堪へずして落つるなり」(155段より)つまり、ある季節の終わりは次の季節の始まりと重なっているということなのです。

私たちも、このように次の世代へと「いのち」のバトンを繋(つな)いでいくのだと考えると勇気づけられます。少し寂しさを感じさせる落葉を、別の角度からとらえてみませんか。

マッチ先生が贈る今月の一句ー9月 マッチ先生が贈る今月の一句ー9月

マッチ先生の今月の一句ー10月

「人文字を描く心に平和の灯」       
「あなたから伝えてほしい愛の波」

人はなぜ戦うのでしょうが。人と人はどうして仲良くできないのでしょうか。体育祭に毎年描かれる「PX]―パックスクリスティー(キリストの平和)の人文字を見ながら考えるのです。

人が人と争うのは、相手が自分より幸せになってほしくないという妬みからではないかと思います。ふと振り返ると、自分にもそういう妬みがあるなと思います。個人のこんな思いが国単位になると戦争に発展するのではないでしょうか。

では、私たちにできることは何でしょうか。それは、背伸びしない自分、今のままの自分を愛することだと考えます。「隣の花は赤い」と考えなくなれば、人を羨んだり、他人の物を欲しがったりしないはず。まず、あなたから始めてみてください。自分を愛し、大切にする人が増えていけば、争いは少しずつ減らしていかれるのではないかと思います。

平和の祈りを唱えながら「キリストの平和」を心から祈りましょう。

マッチ先生が贈る今月の一句ー8月 マッチ先生が贈る今月の一句ー8月

公園に体操仲間の笑顔見る

長いと思っていた夏休みもいよいよ残り数日。今年の夏は猛暑続きで外歩きもままならない毎日だったかもしれません。冷房をガンガン利かせた部屋で過ごしていた方も多いことでしょう。冷房嫌いなマッチ先生も、今年はさすがに冷房のお世話にならざるを得ませんでした。ただ、家の中で過ごす生活で運動不足にならないように、毎朝の散歩と近所の公園でのラジオ体操は欠かさず行っていました。毎日同じ公園に行っていると自然に顔なじみになるもので、「おはようございます!」の挨拶も自然に口に出せるようになってきました。何かしゃべるわけでもない、ほんの25分の関わりですが、仲間意識が芽生えるから不思議です。

皆さんはラジオ体操は軽すぎてつまらない、運動とは言えないと思っていませんか。でも、準備体操・整理体操を含め第1・第2体操、さらに「みんなの体操」までしっかりやると結構いい汗をかきます。体力作りに少し取り入れてみてはいかがでしょうか。仲間作りと、いい汗をかくのにラジオ体操は最適です!

マッチ先生が贈る今月の一句ー7月 マッチ先生が贈る今月の一句ー7月

マッチ先生の今月の一句ー7月

打ち水も湯気たてている昼下がり

   朝まだき川風渡る散歩道

夏休みに入りました。皆さんにとって、夏休みの一番の楽しみは何でしょうか。家族でのお出かけ、家族旅行、それとも友人と遊びに行くことでしょうか。

自分の幼少期を振り返ってみると、楽しかった思い出として記憶に残っているのは、近所の神社の夏祭りです。盆踊りの曲がかかると、心が弾んで、見よう見まねで手足を動かしていたのを思い出します。夜店も楽しみの一つでした。定番の金魚すくい、ヨーヨー釣り、それに射的・輪投げなどのゲームを友人と一緒にするのがとても楽しかったのを思い出します。でも一番心に残っているのはお祭りそのものの雰囲気でした。夏の夜、昼の暑さが少し収まってきた宵に賑やかな音や提灯のおぼろげな灯りの中で繰り広げられる催しのそこはかとない奥ゆかしさ、それが好きでした。

コロナ禍でしばらく中止されていた各地のお祭りも少しずつを戻ってきています。今年は隅田川の花火大会も開催されるとのこと。今年の夏は、久々に夏の夜の風物詩を味わってみてはいかがでしょうか。みなさんがこの夏、自分なりのすてきな思い出作りをされることを願っています。

マッチ先生が贈る今月の一句ー6月 マッチ先生が贈る今月の一句ー6月

「祖母とした茅の輪くぐりのゆかしさや」

「軒先に風鈴揺れる昼下がり」

マッチ先生の今月の一句ー6月

暑くなってきましたが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか。

「煤払い」というと、年の瀬・大晦日を思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、古代の人は、実は半年に一度、煤払いをしていました。一年のちょうど半分の6月に行われる煤払いが「六月祓」。百人一首の中にも登場します。いかにも夏らしい素敵な和歌なので、紹介します。

風そよぐならの小川の夕暮れはみそぎぞ夏のしるしなりける   藤原家隆(百人一首98番)

家隆は、百人一首を選んだ藤原定家と並称されるほどの優れた歌人でした。陰暦の6月末は現在の暦では7月下旬に相当するので、そよぐ風や辺りの様子には秋の気配が漂っていたと思われます。けれども、少しも不自然さを感じさせないのは、歌の力とでも言えるのでしょうか。

時間に追われた毎日を送っていると、心が乾燥しているなと感じられることがあります。そんな時、昔の人の詠んだ和歌や詩に触れると心が癒されていくのを感じます。心がカサカサしているなと感じたら、和歌や詩を通して昔の人の声に耳を傾けてみませんか。

マッチ先生が贈る今月の一句-5月 マッチ先生が贈る今月の一句-5月

「風薫る語らう友の肩ごしに」

「通学す若葉を濡らす雨の中」

マッチ先生の今月の一句ー5月

光塩祭、遠足と様々な行事に忙しかった4月、そして楽しみにしていた連休も終わり、気がつけば5月もあと数日。中1にとっては初めての中間試験でしたね。中1以外の皆さんにとっても、学年が変わって新しいことが山積していることでしょう。マッチ先生にとっても新しいことの連続です。当然、スムーズにいかないこともあります。時には思い悩むことも。

でも、こんな風に考えてみたらいかがでしょうか。生きているからいいろいろな経験をし、悩むこともあるのだと。何の壁もなく、何事もスムーズに運んだらかえって味気ないのではないでしょうか。登山でも起伏があるから面白いと言えるでしょう。

とは言え、悩むのはやっぱりつらいこと。そんなとき、苦しい胸の内を聴いてもらえる人が一人でもいれば、心強いですよね。自分一人で抱え込まないで、信頼できる誰かに自分の思いを打ち明けてみましょう。たとえそれが、直接の問題解決にならなかったとしても、少しだけ心が軽くなるかもしれません。心を開いて自分の弱さをみせることができれば、きっと誰かが手を差し伸べてくれるでしょう。

 

 

マッチ先生が贈る今月の一句ー4月 マッチ先生が贈る今月の一句ー4月

「風光りすっくと立てる若木たち」

2023年度がスタートしました。皆さん、ご入学・ご進級おめでとうございます。

今年度の学校目標は「自己肯定感を高める」ですね。私も自己肯定感を持って「自分らしく生き」ようと、心に決めました。けれども、「自分らしく生きる」ことは意外に難しいものです。自分らしく生きるためには、まず自分を知る必要がありますし、他人からの評価に左右されない強さも必要になります。

初めは難しいかもしれません。けれど一日一回、必ず自分をほめるよう心掛けてください。そして小さくても天に向かってすっくと立つ若木のように、胸を張って空を見上げてみましょう。そうすれば、うつむいていては見えなかった新しい景色が、きっと目の前に現れてくることでしょう。

マッチ先生が贈る今月の一句ー3月 マッチ先生が贈る今月の一句ー3月

マッチ先生が贈る今月の一句 3月

 「さよならは新たな出会いの第一歩」

 「卒業を寿ぐ空は花曇り」

 

「逢うは別れの始め」という慣用句を聞いたことのある方は大勢いらっしゃると思います。これは中国の詩人白居易の詩に拠るものです。

卒業も一つの「別れ」と言えるでしょう。けれども、私はあえて言いたいのです。「別れこそ新たな出会いの始まり」であると。

真壁仁さんの「峠」という詩をご存じですか。その一節に「ひとつをうしなうことなしに別個の風景にはいってゆけない。」とあります。また、「たとえ行手がきまっていてもひとはそこでひとつの世界にわかれねばならぬ」(昭和詩集㈠日本詩人全集33 新潮社より)とも書かれています。

これまで過ごしてきた世界に別れを告げるのは寂しいと思われるかもしれませんが、その寂しさを乗り越えないと、新たな世界へ旅立つことができません。

4月から始まる新たなステージへ、希望をもって進んで行きましょう。マッチ先生は皆さんの新たな門出を心から応援しています。

マッチ先生が贈る今月の一句-2月 マッチ先生が贈る今月の一句-2月

マッチ先生が贈る今月の一句 2月

「山路にも春告げ鳥の声を聞く」

「梅咲きて新年度への思い馳す」

 

皆さんは、この1年間にたくさんのことを学び、吸収してきましたね。次の学年に上がるにあたって、これをやってみようと心に決めたことがありますか。

私には心に決めたことが一つあります。それは「アウトプット」することです。これまで「インプット」してきた知識や経験を的確に発信すること-たとえば、読書、展覧会や旅行で得た知識-を文章にまとめたり、動画にしたりすること。文章にしたり、動画にしたりすることで、「インプット」されたものを自分の中に定着させることができます。また、自分の中に定着させるだけでなく、他者のために活用することもできます。

せっかく自分の中にたくさんの知識を取り込んだのですから、それを眠らせておかずに自分のため、人のために役立ててみてはいかがでしょうか。4月からの新しい年度を迎えるにあたって、私と一緒に「アウトプット」することを少しだけ考えてみませんか。

 

マッチ先生が贈る今月の一詩 マッチ先生が贈る今月の一詩

マッチ先生が贈る今月の一詩

 「ひらくということ」

耳が開かれている時には、いろいろなもの音が聞こえる。

目が開かれている時には、いろいろな人やものが見える。

そして、心が開かれている時には、たくさんのことばが入ってくる。

本当に、これでもかこれでもかというぐらいおもしろいように。

「ひらく」ということは、とても勇気のいること。

なぜなら、ひらくことで出ていくものもあるから。

もしかしたら、出ていってほしくないものもあるかもしれない。

ひらくことで失うものもあるかもしれない。

ひらくことで傷つくこともあるかもしれない。

でもひらいてはじめて見えてくるものがある。

少しだけ勇気をもってひらいてみよう。

その時、きっと思いがけない風景が見えてくる。

それがあなたへの、神さまからのメッセージ。

寒さの中にも梅の花のほころびや日脚の伸びに、春の兆しを感じるように

なりました。1月は、年が新たになるとともに生きとし生けるすべてのも

のが新たに「ひらかれる」、そんな気がします。

そんなことを考えながら、今月は詩を作ってみました。自身に言い聞かせ

つつ、皆さんへのエールとしてこの詩を贈ります。