マッチ先生が贈る今月の一句ー12月 マッチ先生が贈る今月の一句ー12月

本広げこたつに入り居眠りす

読書には足熱厳禁睡魔用心

学校は冬休みに入り、今年も残すところわずかとなりました。

帰省する人、旅行する人、ショッピングに行く人など、冬休みの過ごし方は、さまざまだと思います。

この冬休みはどのように過ごそうと考えたとき、私はじっくり本を読んでみようかなと思いました。どちらかというと出歩くのが好きな人間ですが、最近、心のゆとりがなくて本を読まずに過ごしていたため、心がカサカサになってしまった感じがするので、このお休み中は家で読書の時間を取りたいと思ったのです。そのとき、ふと思い出したのは、『徒然草』第十三段の一文です。

「独りともし火のもとに文(ふみ)を広げて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる。」

「文」というのは書物を指し、「見ぬ世の友」は知らない昔の人すなわち古典の作者や登場人物を指します。本を読むことは孤独な作業で、一方通行の感がありますが、実は作者や登場人物と対話しているのだと、兼好は言っているのではないでしょうか。読書によって、人とつながることができると言っている気がします。

光塩では、今年は「つながる」プロジェクトの一環として、地域社会との関わりや留学生の受け入れなど、人との関わりを強めてきました。現在この世に生きている人とのつながりが大事なのはもちろんですが、時代や空間を異にする人とつながることも大事だと思います。古典の読書を通じて、古人が生きた時代を知ることができ、与えてくれた教訓も受け取れるのだと思います。

この冬、古典を読んで古人とつながってみませんか。

マッチ先生が贈る今月の一句—11月 マッチ先生が贈る今月の一句—11月

雪つりの松を囲んで談笑す

布団干し我が家もついに冬支度

小春日が続いているものの、さすがに朝夕は冷え込むようになりました。まもなく師走、2025年も終盤に近付いてきましたね。

東京で行われたデフリンピックが先日終わり、予想を超える観戦者数と日本のメダルラッシュに盛り上がりました。

メダルを獲得した陸上の山田選手が、「デフリンピックが終わっても、これで終わりではなく、これからが始まり。デフリンピックをきっかけに障がいを持つ人と持たない人との交流の輪を広げ、障がいを持つ人々が暮らしやすい世の中を作るために活動していきたい」と話していたのが強く心に残りました。

また、観戦した人々からも、「応援を通して障がいを持つ人々と繋がっていると感じることができた。これからさらに障がい者との関わりを広げていきたい」という声が上がっていました。

私はこれまでデフリンピックにそこまで強い関心を持ってはいませんでしたが、報道を見て選手と応援する人たちが一体になって競技を盛り上げている姿に感動し、障害を持つ方々の生きざまに関心を持つようになりました。

今、学校では毎年恒例の「クリスマス助け合い」を行っていますが、遠い国で苦しんでいる人のことを心にかけるのはもちろんのこと、国内で生きづらい思いをしている人々のことも心にかけて、心のこもった支援をしてほしいと願っています。

 

 

マッチ先生が贈る今月の一句ー10月 マッチ先生が贈る今月の一句ー10月

宵闇に香やはかくるる金木犀

先週から、季節は突然冬になりました。朝夕の風が身に染みる今日この頃をいかがお過ごしでしょうか。

最近、街を歩いていると、どこからともなく上品な香りが漂って気持ちをリラックスさせてくれます。辺りを見回しても目に映るのは樹木ばかり。目を凝らしてようやく、梢にかたまってついている黄色い小花を見つけることができます。金木犀の花は、こんなに目立たない姿なのに、香りを放って存在を知らせているのです。

金木犀を想うとき、きまって浮かぶのが、『古今和歌集』にある春の歌です。金木犀のようにひそやかに香る梅の花を詠んでいます。

春の夜のやみはあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる  凡河内躬恒

梅の花も、桜ほどの華やかさはないものの、そこはかとない香を漂わせて心を和らげてくれます。金木犀は、闇の中でも香を放つ梅と同じような存在と言えるでしょう。

人にもそれぞれの特性があると思います。ある人は、先頭に立って人々を率いていく存在。またある人は、表舞台に出ることなく、陰から人々を支える存在です。若い頃の自分は、人の陰に立つことを快く思ってはいませんでした。私も表舞台に立ち、皆を率いていきたいと思っていました。でも、「適材適所」ということは確かにあるのだと、今は思っています。みんながみんな、前に出ようとしたらどうなるでしょうか。やはり、後ろから、あるいは縁の下から支える人が必要なのだと思います。

今の私の希望は、金木犀のようにそそと咲き、姿は見せずとも、ひそやかに香って人を癒すことです。

陰のような存在であることを心さびしく思い、悩んでいる方は、この金木犀の生きざまを見直してみてください。少しだけ心が軽くなると思います。

高1総合 卒業生講演会 高1総合 卒業生講演会

10月初旬、高1は卒業生講演会を開催しました。講演に来てくださったのは、本校を71回生で卒業された、現在「日東紅茶」ブランドを展開する三井農林株式会社にお勤めの干川(幸地)里実さんです。講演会は終始、和やかで笑いに満ちた時間となりました。干川さんは光塩生時代、成績が振るわなかった際に自分の心とどう向き合っていたかなど、ありのままに打ち明けてくださり、思い出の一つ一つが生徒の心に大きく響いたようでした。高校生の時、国語科の担任に「コピーライターが向いているかもしれないね」とかけてもらった一言がきっかけで、干川さんは大学卒業後に広告会社へ就職する夢をかなえます。しかし、広告のお仕事を続けるうち、モノづくりにかける職人さんの情熱に触れ、「もっと日本のモノづくりにかける人々の想いを世の中に伝えたい」と奮起し、日本の伝統工芸品や食品を扱うセレクトショップに転職されました。その後、ライフスタイルの変化から、広報としてのキャリアを途絶えさせることなく、家族との関わりを大切にすることを決意し、二度目の転職を経て現職へと就かれました。それら、どのエピソードにも端々に干川さんの芯の強さが感じられ、講演後は生徒たちの質問の手が止まりませんでした。「すべての選択に意味があるから、今の自分を精一杯生きて頑張って!」という干川さんの言葉に背中を押され、高1は残りの高校生活も頑張ります!

干川(幸地)里実さん

生徒は広報のお仕事の幅広さに驚いていました

 

 

 

 

 

 

 

日東紅茶さんの商品はすでに多くの生徒が日常的に親しんでいました

マッチ先生が贈る今月の一句ー9月 マッチ先生が贈る今月の一句ー9月

曼珠沙華炎のごとくにおい立つ

夏の外気が残っているものの、植物や昆虫たちはすでに秋を感じ取っているのでしょうか。

曼珠沙華が、あたかも炎のように咲き誇っています。そして夕日が沈めば、コオロギやカネタタキの合唱が始まります。季節はこうして確実に先へ先へと進んでいるのです。

いっぽうの人間はどうでしょうか。人間の「考え」も時々刻々と変化しているのではないでしょうか。ただ、人間の「考え」は日々発信されるさまざまな情報に振り回されて、変化を余儀なくされているような気がします。戦争についてや政治についての「考え」もその傾向があると思います。これこそが自分の考えだと思っているものも、実はマスメディアやSNSの受け売りということがあるかもしれません。

今、国際社会では、さまざまな国が戦争をし、一国の中にも分断ゆえの争いが起きています。どの国も自国の正しさを主張し、攻撃を正当化しています。そして、攻撃への賛否両論は一国の中にも見られます。

あなたは、戦争や国内外の政治に関して、自分なりの考えを持っていますか。私は、自信をもって「持っています」とは答えられません。ニュースや新聞の意見をそのまま鵜呑みにしていることがあるような気がします。しかしそれは大変危険なことだと思います。

世論が言う「良い」・「悪い」を判断基準にしていると、戦争に駆り立てられたかつての日本のように、誤った方向へ進んでしまう危険があります。

では、どうすればよいのでしょうか。答えは一つ、それは自分でよく調べ、検討することだと思います。

秋になると必ず咲く花のように、ぶれない「自分」を持ちたいものです。

マッチ先生が贈る今月の一句ー7月 マッチ先生が贈る今月の一句ー7月

夏休み友人と行く自習室

猛暑の日々、学校は夏休みに入りました。夏休みというと頭に浮かぶのが、宿題に追われた8月31日です。

夏休みに入った直後は快調に進んでいるのですが、8月上旬から急にペースダウンし、結局は8月31日の夜遅くまで、宿題と格闘するのが常でした。なぜそんなことになってしまうのでしょうか。それは優先順位のつけ方が下手だからではないかと自己分析しています。

かたや、あらかじめ綿密な計画を立てておき、立てた計画の通りに着々と課題を終わらせていく人もいます。

みなさんはどちらのタイプでしょうか。優先順位がつけられないのは性格だから直せないと諦めていませんか。でも諦める必要はありません。

一体どうしたら優先順位がつけられるかを一緒に考えてみましょう。

まず、「敵」ならぬ課題(やるべき宿題・仕事)の総量を把握しましょう。次に、その「敵」をどのように攻略するか、作戦を立てましょう。宿題の場合は、苦手なもの、気が進まないものを後に残さないこと。最初に手をつけやすいものばかりやっていくと、後に残るのは苦手なものばかり。これではモチベーションが上がりません。それなら、いやなものを先に集中的に終わらせてしまうのがいいのでしょうか。それもまた難があります。いやなもの、苦手なものはなかなか進まないので、途中で投げ出したくなってしまうからです。

私のお勧めは、いやなものと苦にならないものとを交互にやっていくことです。まずいやなものを少し頑張り、その後はご褒美の形で取り組みやすいものをやるのです。こうすると、投げ出さずに続けられるのではないでしょうか。

それでもうまくいかなかったら?最終日までかかってしまったとしても、そんな自分を責めないことです。とりあえずやり終えた自分をほめてあげましょう。これが、私の失敗体験からのアドバイスです。

せっかくの夏休み、宿題以外のことにもチャレンジして夏を満喫してくださいね。

 

マッチ先生が贈る今月の一句ー6月 マッチ先生が贈る今月の一句ー6月

「幼少の茅(ち)の輪くぐりを懐かしむ」

 

真夏を思わせる日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。5月は国民の祝日もあり、全国的にも様々な行事があって、華々しい月といったイメージがありますが、6月は祝祭日がなく、時の記念日などの記念日はありますが、何となく地味なイメージがありますね。

でも、古人は6月の晦日を、半年に一度の「禊(みそぎ)」の日と定め、12日31日の大晦日と同様に、罪やけがれを祓(はら)う儀式を盛大に行っていたようです。その片鱗が今でも窺えるのが、神社に設置されている「茅の輪」。うちの近所にもあります。幼少期、意味もわからずにくぐった記憶があります。

「風そよぐならのおがわの夕暮れはみそぎぞ夏のしるしなりける」家隆

百人一首に詠まれた和歌です。実際には旧暦の6月は現在の7月下旬ですから、夏の終わりということになるのですが、現在はこれからが「酷暑」。花火大会や盆踊りのような夏の行事が目白押しですね。今を生きる私たちですが、昔から受け継がれてきた行事に目を向け、日本の伝統文化を味わってみませんか。

マッチ先生が贈る今月の一句ー5月 マッチ先生が贈る今月の一句ー5月

長雨に喜んで咲く茄子の花

6月を前にして、九州では早くも梅雨入り宣言が出されました。関東地方でも曇りがちの日々、まもなく梅雨入りと思われます。
梅雨というと、鬱陶しいなあと感じたり、なんとなく気持ちが重くなったりすることはありませんか。

私は朝目覚めて雨が降っていると、家から出たくないなあと思うことがあります。でも、最近少し感じ方が変わりました。それは、夏野菜の栽培を始めてからです。現在、我が家のベランダには茄子とパプリカの鉢植えがあります。ご存じの方もあると思いますが、夏野菜である茄子とパプリカは、暑さに強いものの、水切れには弱く、少しでも水を切らすとしおれてしまいます。昨年は、水を切らして枯らしてしまいました。ですから、雨の日は、茄子もパプリカも生き生きして、たくさん花を咲かせてくれます。

茄子とパプリカを育ててみて、植物の場合と同様に自分にとっては心地よいことでも、他者にとっては快いとはいえないことがあるのではないかと、改めて気づかされました。

人は往々にして、ものごとを自分目線でとらえてしまいます。しかし、他者と自分とは同じではないということをもう一度考えてみる必要があると思います。他者の立場に立ってものごとを見、考えるとき、思いやりの心も生まれ、対話もできるのではないでしょうか。

現在、世界中で継続している対立、戦争も、まず他者の目線になることで、対話や和解が生まれると信じています。

マッチ先生が贈る今月の一句ー4月 マッチ先生が贈る今月の一句ー4月

「公園の青柳風にしないたる」

「朝日浴びて光るがごとき草若葉」

2025年度が始まり、まもなく三週間が経とうとしています。光塩祭の終了とともに高3が引退し、高2がリーダーシップをとることになります。

4月は、新旧交替の時期。様々なことがスタートします。木々も新しい葉をつけて春の日差しをいっぱいに浴びています。春に出てくる葉っぱは濃い緑色をしている夏の葉と異なり、黄緑色をしています。私は、この、最初に出てくる葉の色が大好きです。この淡い色がどのように変化していくのかと想像するだけでわくわくします。

光塩祭でのパフォーマンスを終えて後進に道を譲った高3生を見ていて、立派な「葉っぱ」に成長したことをひしひしと感じました。殊にこの高3は、コロナ禍で入学式もなく始まった中等科生活だったので、その成長ぶりに感慨も一入でした。

今年度も光塩女子学院では、新入生たちを迎えました。この新入生たちが、光塩での学校生活を通してどのような色に変化していくのか、その成長ぶりが楽しみです。

 

 

マッチ先生が贈る今月の一句ー3月 マッチ先生が贈る今月の一句ー3月

「さまざまの事思ひ出す桜かな」芭蕉

3月に入ってからも寒い日が続き、東京でも雪が降ることがありましたが、ようやく冬将軍から解放されそうですね。これまで寒かっただけに急に暖かくなって、桜が一気に咲く気配。本当の春はもうそこまで来ています。桜は蕾の状態ですが、梅は盛りを過ぎ、海棠はすでに咲き始めています。咲く時期は異なりますが、いずれもバラ科の植物です。桜はご存じのとおり、花見の定番として多くの人に愛でられますが、梅の上品な香もまた、古代から和歌に詠まれ、愛されてきました。海棠の華やかな様は楊貴妃になぞらえられ、もてはやされています。

このように植物たちは、同じ科であっても、それぞれの個性を持っており、優劣などつけられません。私たち人間も同じです。皆それぞれにかけがえのない存在なのです。

書家で詩人でもある相田みつをさんは、「自分が自分にならないでだれが自分になる」という言葉を書いていますが、本当にそのとおりだと思います。

4月から新しい世界に入っていく皆さん、ぜひ自分のまま、置かれた場所で花を咲かせてくださいね。応援しています。

最後に門出する皆さんに、駄句を一句

「旅立ちに幸あれと祈る親心」