マッチ先生が贈る今月の一句ー8月 マッチ先生が贈る今月の一句ー8月
「打ち水も焼け石になるアスファルト」
8月も下旬に入りました。世の中がお盆休みに入ったころ、久々に咽頭炎にかかって熱を出してしまい、薬を飲んでおとなしくしているしかありませんでした。ここ3年ほどは風邪もひかずに過ごしたので、あらためて健康のありがたみを実感した次第です。
さて、熱っぽくて仕事をする気にもなれず、観るともなくテレビをつけていると、この時期らしく、太平洋戦争に関する番組を放映していました。マッチ先生は昭和の人間とは言え、太平洋戦争は経験していませんから、ああ、今年もそんな時期になったのかと初めはさほど気に留めていませんでしたが、「特攻隊」となって出撃した方々を泊めた宿の娘だった方の談話が耳に入り、この世で会うことのできなかった父方の叔父のことをふと思い起こしました。
幼い頃、父の実家へ遊びに行くと、父は真っ先に仏壇に手をあわせていましたが、早世した父の母親の遺影の横に飾られていたあどけなさの残る少年飛行兵の写真、それが叔父でした。昭和20年4月3日、行年19歳、まだまだやりたいことがたくさんあったに違いありません。写真の奥からこちらを見つめる希望に満ちた瞳のあまりの美しさに思わず釘付けになったのを思い出します。
前途ある優秀な若者たちは、なぜ命を落とさなければならなかったのか、戦争に何の意味があるのか……
8月は、戦争を体験したことのない日本人に、平和の尊さと命のかけがえのなさを教えてくれる大切な月と言えるでしょう。