マッチ先生が贈る今月の一句ー6月 マッチ先生が贈る今月の一句ー6月

「紫陽花に宿りし雨滴いとおしむ」

関東地方もついに梅雨入りしました。連日の日照りに、心なしかくすんで見えていた紫陽花が、急に生き生きしてきました。各地で紫陽花祭りが開催されているようです。

さて、皆さんは「雨滴」すなわち「雨のしずく」に目を留めることがありますか。私はある時から「雨滴」に目を留めるようになりました。それは、五木寛之さんの書かれた随筆『大河の一滴』を読んでからです。読後、しばらくは感動のあまり言葉が出ませんでした。そこに書かれていたのは、私たち人間一人一人が「大河の一滴」だということ。水は「一滴」では「大河」を成すことはできませんが、たくさん集まれば大きな河を成すことができる、そう考えると「一滴」だって無駄な存在ではないということ。それを教えてくれたのが、この作品でした。

紫陽花に必死でしがみついている雨滴を見ていて、その存在がいとおしくてならないのです。