マッチ先生が贈る今月の一句ー1月 マッチ先生が贈る今月の一句ー1月
「まがも鳴く池の面を渡る風」
「朝まだき吐く息白く身震いす」
まもなく立春を迎えますが、まだ寒さが身にこたえますね。公園の池に浮かんでいるまがもたちもこころなしか寒そうです。早朝、出かける際も吐く息が白く、思わず首をすくめてしまいます。
けれども、耳をすますと確実に春が近づいていることがわかります。それは、鳥たちの囀りです。12月には聞こえなかった鳥の声が空に響きわたります。都会にも意外にたくさんの種類の鳥がいるのをご存知でしょうか。先日、国立科学博物館で開催中の鳥の展覧会をみてきました。家の近所でほぼ1年じゅう見かけるのはカラス、スズメ、ムクドリですが、春先になるとメジロやシジュウカラの合唱が始まります。鶯の鳴き声は皆さんよくご存じだと思いますが、メジロやシジュウカラも鶯に負けないくらい美声です。私はメジロとシジュウカラの大ファンで、彼らの声を聴くと心が躍ります。シジュウカラが「ことば」を持っているのは現代にはよく知られているようですが、いにしえ人も鳥の声に耳を傾けていたというのは、詠まれた和歌が物語っています。
かの有名な『古今和歌集』の仮名序にも「花に鳴く鶯、水にすむ蛙の声を聴けば生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける」と書かれています。ですから春の訪れを鳥たちも寿いで鳴いているのでしょう。ともすると人間は、周りのすべての生き物たちが自分たちのために存在していると勘違いしてしまいます。そして、他の生き物たちを、ひいては自然をないがしろにし、破壊してしまうのです。絶滅危惧種の鳥の写真を見て、人間のおごりを感じました。鳥の展覧会は、私たちに、自然の偉大さを伝えるとともにそれを破壊しつつある人間への警鐘を鳴らしてくれました。
皆さんも春を告げる鳥の声に耳を傾けつつ、限られた自然への慈しみを感じていただけたらと思います。